「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プログラム」の遂行に伴って、昭和55年道路橋示方書よりも古い基準を適用した橋梁の内、橋脚に鉄筋の段落し部のある橋梁に関する耐震補強工事が着々と進んでいるところである。しかし、3プロに要求された耐震補強対策は、現行基準に規定されていたレベル2地震時において、落橋のような重大な被害を防止する応急対策であり、基本的に平成8年に発行された道路橋示方書よりも以前に設計された橋梁は、現行基準の耐震性能2,3を満足していない状況である。今後、これらの橋梁の耐震補強も研究課題であると考えられる。近年、建築分野に多用されてきた粘性ダンバーや低降伏鋼を用いたせん断パネル型ダンバーなどが橋梁への適用も増えている。このような制震デバイスの適用により、橋梁の耐震補強は上部工および支承部の改良に留まり、従来の橋脚に対するRC巻立て工法や鋼板巻立て工法等で耐震補強の困難な橋梁および多大な工事費を必要とする橋梁は、これらの制震デバイスの適用により、低コストで施工可能となり、橋梁の耐震性能2,3の確保が容易にできることが考えられる。しかし、橋梁への制震デバイスの適用実例が少なく、その適用性についての研究がまだ不十分である。このような観点から、本論文は既設の5径問の単純銅板析橋に対する制震デバイスの適用性の検討を行い、橋梁基礎地盤の影響を含めた検討結果を示すものである。

平成20年:土木学会 / 担当:金田、金城、石川

既設橋梁耐震性向上のための制震デバイスの適用性に関する検討[PDFファイル]